国が定めた「再生医療等安全性確保法」により、治療の妥当性、安全性、医師体制、細胞加工管理体制が認められれば、再生医療による治療が可能になりました。
厚生労働省への届け出が必要なのですが、その前に医師や法律家が集まった委員会の承認も必要なのです。
認定再生医療等委員会のメンバー構成において、要件、基準が設けられています。構成要件はつぎの8つです。
1.分子生物学、細胞生物学、遺伝学、臨床薬理学、または病理学の専門家
2.再生医療等について十分な科学的知見及び医療上の識見を有する者
3.臨床医(現に診療に従事している医師または歯科医師。以下同じ)
4.細胞培養加工に関する識見を有する者
5.医学または医療分野における人権の尊重に関して理解のある、法律に関する専門家
6.生命倫理に関する識見を有する者
7.生物統計その他の臨床研究に関する識見を有する者
8.第一号から前号以外の一般の者
ほかに基準として、男性および女性がそれぞれ2名以上含まれること、再生医療等委員会を設置する者と利害関係がない者が2名以上含まれることがあります。
認定再生医療等委員会は日本全国に50団体ほどありますが、現状は東京などの都市部に集中しています。特に高度な審査能力や第三者性を有する委員会は「特定」認定再生医療等委員会と呼ばれ、第一種と第二種の審査に携わります。
(特定)認定再生医療等委員会の業務
(特定)認定再生医療等委員会は、医療機関から提出された計画が厚生労働省の定めた基準に合致しているかなどを審査し、意見を述べます。
審査に合格し、再生医療の治療が始まったあとも定期的に報告を受け、再生医療等に起因する病気や障害などが起きたときは原因を究明し、場合によっては再生医療の提供を中止するよう申し渡すこともあります。
私もとある特定認定委員会のメンバーに入りました。2番目の「再生医療等について十分な科学的知見及び医療上の識見を有する者」という立場で参加しています。
主な仕事を挙げると、医療機関が提出した論文や動物実験データなどを精査したうえで、質疑応答を行います。同じ治療法を提出したAとBの医療機関があったとして、Aは承認されたけれど、Bは審査が通らないケースがあり得ます。医療内容だけをチェックしているだけではなく、医療従事者の知識、見解、倫理観も含めて検討していく必要があります。ですから、(特定)認定再生医療等委員会には幅広い分野の専門家が必要なのです。