「管仲なかりせば、吾その髪を被りじんを左にせん。」 論語 憲問
あけましておめでとうございます。襟を正して、髪をそろえて、新年のご挨拶を申し上げます。
さて、身なりを整えて挨拶をするのは礼儀ですが、論語の中では一度だけ出てくる(毛)髪。管仲という立派な人がいなければ自国の文化を保つことができず、髪を整えず、衣服(じん)も左前で着ることになったであろう、と論語で孔子は述べています。
われわれにとって身近な存在であり、ないと困る毛髪。再生医療の最前線という切り口から、最近のレビュー論文を用いて再生医療がどのようにして毛髪に効くのかに触れたいと思います。
髪の毛はだいたい10万本あるといわれています。毛は毛母(もうぼ)細胞が細胞分裂することで新しく作られますが、大きく分けて3つの時期があり、それぞれ成長期、退行期、休止期とよばれます。このサイクルは毛周期と呼ばれ、だいたい3~6年で1周します。AGA(男性型脱毛症)の宣伝などで割と一般化してきたかもしれません。
その毛母細胞、単独で毛を作り続けるわけではありません。サポート役である毛乳頭(もうにゅうとう)細胞が重要な役目を果たします。核家族でたとえると、母親が子供を産んで忙しい状況、それを支える父のような存在でしょうか。幹細胞治療の影響は様々言われていますが、特に毛乳頭細胞への影響が指摘されることが多いです。
専門的には、、、幹細胞を投与すると毛乳頭細胞にWnt/β-Catenin(ウィント/ベータ-カテニン)シグナルが作用し、発毛が促進します。すこし具体的には、幹細胞から分泌される成長因子が成長期を延長すること(FGF-7)、細胞成長を誘導すること(ERK活性化)、毛包の発達を促進すること(βカテニン)、アポトーシスのきっかけを抑制すること(Bcl-2放出とAkt活性化)を通して発毛に影響を与えることが考えられています。
うーん、わかりにくいですね。
というわけで、ここから少し、トウハツ地区に住む妄想アタマノ家 一家物語をひとまく。
さいたま市とほぼ同じ規模のトウハツ地区は、子供人口10万人を有し、日本にとって欠かせない場所。各家庭では5年に一度 子育てをして、立派に成長した子供らは「抜け毛」を通じて卒業していきます。ずっと こども人口は減らずに来たのですが、最近は変化が見え始めてきたようです。
このトウハツ地区に居を構える、典型的な一家のアタマノ家。母親(毛母細胞)と父親(毛乳頭細胞)が仲良く暮らしていました。
しかし最近は年をとってきたためか、自分たちも疲れてきたし、町も高齢化の影響で活気は減少。お上からのストレスで父親は家庭内で協力しなくなり、母親もくたびれた様子となってきたために、休止期が長くなり「もうそろそろ引退かな」とあきらめムード。
そこでトウハツ地区は思い切った施策にでます。ヘソマワリ地区から元気いっぱいの関西ボーズ(幹細胞s)を集団で移住させました。
もちろんアタマノ家の周りにもたくさん。育ちは全然違うはずなのに、不思議とコミニュケーションは問題なくとれます。
するとどうでしょう。なんだかんだと元気な関西ボーズたちが騒ぎ立て、何かとかかわることの多い父親に働きかけます。
もうだめだと思っていた一家を思いとどまらせ(アポトーシスのきっかけを抑制)、子育てが始まった父親を励まします(細胞成長の誘導・成長期の延長)。すると彼らの発するポジティブな行動も相まって、子供はぐんぐん成長(毛包の発達が促進)。
結果として、元気なこどもの人口も増え、トウハツ地区に活気がもどりました とさ。
もっとほかにも良い影響はあるのですが、ひとまずチャンチャン。だいたいこんな感じです。書いてて思いましたが、漫画『はたらく細胞』みたいですね。
なお本ストーリーは完全に自作です。アタマノ家でご登場いただいた、さいたま市や関西には何の恨みもありません。最近まで約6年さいたま市に在住、生まれが関西であることを告白します。
ではまた!
(加藤基)
参考資料
さいたま市こども人口(15歳未満)データ
関東・関西・中部地方の市区町村別子ども人口数データ - いこーよ総研 (iko-yo.net)