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再生医療

2025/05/05
【椎間板ヘルニアと再生医療Vol.3】腰椎椎間板ヘルニアの主な手術法とリスクについて医師が解説
 
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椎間板ヘルニアのなかでも罹患率が高い腰椎椎間板ヘルニア。Vol.2で解説したように軽度レベルの場合は、保存療法で炎症や痛みを軽減することができます。
なかには時間の経過とともに飛び出た椎間板が体内に吸収され、3カ月ほどで自然治癒することも。
必ずしも手術が必要な疾患ではないのですが、保存療法を続けても改善が見られないときには手術を検討します。今回は、その手術法についてお話をしましょう。
 

本ブログの要約

腰椎椎間板ヘルニアの治療は、保存療法が基本であり、薬物療法や運動療法を3カ月以上行っても改善が見られない場合や、下肢の脱力、排尿・排便障害が出た場合に手術が検討されます。手術法には、従来のLOVE法、内視鏡を用いたMED法、さらに低侵襲なPED法があります。手術には感染症や神経損傷、再発などのリスクが伴います。保存療法と手術の中間的治療法として、椎間板内酵素注入療法や再生医療も選択肢となっています。

腰椎椎間板ヘルニアの手術を検討するのはどんなときか

2010年頃から神経障害性疼痛治療薬の使用が広まり、神経を圧迫することでの痛みにも高い効果が得られ、治療計画が大きく変わりました。
薬物療法や運動療法を行うことで症状が緩和されることが多く、腰椎椎間板ヘルニアで手術が必要なケースは10%程度と言われています。
 

保存療法を継続しても強い痛みが続くとき

まずは痛みや炎症を抑えるために非ステロイド性消炎鎮痛薬や、神経障害性疼痛治療薬を処方します。痛みがやわらいできたら、ストレッチや筋力トレーニングを行い腰椎への過剰な負担を軽減。筋力をつけ、正しい姿勢が保てるようになることで再発予防にもつながります。
この保存療法を3カ月以上行っても、日常生活に支障があるほど強い痛みが続く場合は手術を検討します。
 

下肢の脱力、排尿・排便障害が出たとき

飛び出した椎間板が神経を圧迫することで痛みが生じるのが椎間板ヘルニアです。痛みだけでなく、下肢のしびれ、麻痺など神経症状が強く現れたときや、排尿・排便障害(尿や便が出なくなること)が出たときは緊急手術が必要になります。
 

腰椎椎間板ヘルニアの主な手術法

痛みの原因となっている飛び出た椎間板を摘出する手術を行います。近年では患者様への負担が少なくなるよう低侵襲の術式が行われるようになり、選択肢も増えてきました。
 

椎間板ヘルニア摘出術 LOVE法

これまで一般的に行われてきた方法です。背中側を約3~5cm切開し、筋肉をはがして神経を圧迫している椎間板を摘出します。場合によっては骨の一部を削ることもあります。
手術時間は1~2時間程度で、問題なければ翌日から歩行訓練などリハビリが始まります。
入院期間は2~3週間が目安です。
 

内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術 MED

内視鏡を用いた方法で、背中側を約2cm切開し、そこから器具を挿入して手術を行います。モニターで確認をしながら神経を圧迫している椎間板を取り出します。筋肉をはがしたり、骨の一部を削ったりする場合も。
全身麻酔で行うのは従来のLOVE法と同じですが、傷口は小さくなるため体への負担が軽減されます。入院は1週間程度。
 

経皮的内視鏡下腰椎椎間板切除術 PED

MEDで使う内視鏡よりも小さい、直径約7㎜の微小内視鏡を用いて行う術式です。背中側の皮膚を約7㎜切開し、そこに細い管を挿入。そこに専用の内視鏡を入れてモニターで確認をしながら飛び出した椎間板を摘出します。
局所麻酔で行えるため、日帰り手術も可能です。
 

考えられる手術のリスク

どの手術を選択しても、感染症などの合併症や後遺症などリスクが伴います。どんな治療を行うかを説明するときには、メリットだけでなくリスクに関しても医師が詳しく話をしますので、内容をしっかりと理解したうえで治療法を決めてください。不安な点、疑問などがあれば患者様も遠慮なく質問をしてください。医師と患者様がしっかりとコミュニケーションをとれることも、適切な治療を行うための大切な要素です。
 

感染症などの合併症

手術をする以上、出血は避けられませんので過度な出血が起こり得ることも。そこから血腫が形成されると神経の圧迫につながります。また、傷口から細菌が入り、化膿や骨膜炎が起こることもあります。
術式を問わず椎間板を摘出する際に、神経が損傷するリスクも考えておかなければなりません。
術後、長時間動かずに寝たままでいると血栓ができやすくなります。術後の経過に問題がなければ、医師の指導のもと体を動かして血流を促すことが大切です。
 

一時的なしびれが残ることも

術後も痛みやしびれが残る場合もあります。これは、椎間板を摘出する際に神経が圧迫されて起こることがほとんどです。1~2カ月すると症状が落ち着いてきますが、長引く場合は医師に相談をしてください。まれに、手術中に神経を傷つけてしまうことがあります。確率は低いのですが、リスクがあることは頭に入れておきましょう。
 
 

再発

術後、リハビリを怠ったり、腰に負担がかかる姿勢を続けていたりすると再発の可能性が高くなります。
また、飛び出した椎間板を完全に取り除くことができない場合もあるので、残った椎間板がまた神経を圧迫してしまうこともあります。
再発率は5%未満という研究結果もありますが、再手術の必要性は患者様の症状によって異なりますので、医師と相談をしてください。
 

腰椎椎間板ヘルニア治療の新たな選択肢

保存療法で効果がない場合、すぐに手術というわけでもありません。手術はリスクを伴い、入院や術後のリハビリに時間がかかりますので、働き盛りの30~50代にとって迷うところでしょう。
そこで、保存療法と手術の中間的治療法として、新たな選択肢がいくつか生まれています。
 

椎間板内酵素注入療法

酵素を含んだ薬剤・ヘルコニアを注入することで、突出した椎間板が小さくなり神経の圧迫を弱める治療法です。手術とは異なり、注射で薬剤を注入するので傷口は注射痕のみで、入院も1~2日程度。場合によっては日帰りも可能です。
アナフィラキシーの可能性があるため、アレルギー体質の方は注意が必要です。
 

再生医療

脂肪由来幹細胞治療やPDR法(経皮的椎間板再生治療)、多血小板血漿治療など、損傷した部位の再生を促すことで炎症や痛みを緩和する方法です。まだ研究段階のこともありますが、実用化が進んできています。
自由診療(保険適用外)になるため、治療費は高額になる可能性があります。また、高度な専門知識が必要とされるため、実績のある病院を選びましょう。
 
 
第3の治療法は、症状が悪化する前に治療を受けることで高い効果が期待できますので、「これくらいなら我慢でる」「まだ大丈夫」と思わずに、腰に違和感がある、痛みが強くなってきたと感じたら早めに受診をしてください。
 
次回は、再発予防のためのリハビリテーションと生活習慣の見直しについて解説します。
 
 

FAQ

Q1:腰椎椎間板ヘルニアの手術はどのような場合に検討されますか?

A1:保存療法を3カ月以上行っても強い痛みが続く場合や、下肢の脱力、排尿・排便障害が出た場合に手術が検討されます。​
 

Q2:手術にはどのようなリスクがありますか?

A2:感染症や神経損傷、術後のしびれ、再発などのリスクがあります。​術後のリハビリを怠ると再発の可能性が高まります。​
 

Q3:手術以外の治療法はありますか?

A3:椎間板内酵素注入療法や、脂肪由来幹細胞治療などの再生医療が選択肢としてあります。​これらは低侵襲で、入院期間が短い、または日帰りでの治療が可能です。

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