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再生医療

2024/03/18
【膝関節と再生医療Vol.4】膝がこわばる、立ち上がるのがつらい。それ、変形性膝関節症かもしれません
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中高年になると膝の痛みを抱えている人が増えるというお話を前回しました。高齢になるほど膝関節の痛みに悩まされ、その多くは「変形性膝関節症」といわれています。症状のある患者数は約800万人、レントゲン画像で変化が認められる人は約2500万人いるといわれています。
立ち上がるときや歩きはじめるときに痛みがある人は、もしかしたら変形性膝関節症の初期症状かもしれません。
今回は、中高年を悩ませる変形性膝関節症について松﨑医師が解説します。
 

変形性膝関節症の主な原因 

大腿骨と脛骨が連結する部分が膝関節です。その構造については、前回(Vol.3)で解説しました。やわらかくツルツルとした関節軟骨や半月板、滑膜があることで、膝関節への衝撃や負荷をやわらげてくれています。
しかし、ケガや加齢によって軟骨がすり減ることで膝関節が変形し、痛みや腫れが起こります。それが「変形性膝関節症」という病気です。
原因が明らかなものは1ー2割程度で、それ以外の変形性膝関節症はこれだという一つの原因はなく、さまざまな要因が重なり起こります。
 

スポーツでのケガなど外傷後に起こる二次性変形性膝関節症

過去に足を骨折したことがある、ハードなスポーツで半月板損傷や靭帯損傷を起こしたことがあるという人は、原因が明確です。特にスポーツをしている人は、日頃から膝関節に負担がかかる動作をしているので、軟骨の摩耗が進みやすいのです。
高齢者の病気と思われている変形性膝関節症ですが、ハードなスポーツをしている人や膝に負担がかかる仕事(例えば建設現場や引っ越し業者、配達員など)をしている人は、30代、40代でも発症リスクがあるので、注意が必要です。
 

加齢、肥満など慢性的な機械的ストレスによる一次性変形性膝関節症

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変形性膝関節症の約8割は、はっきりとした原因がわかりません。
40代から徐々に増え、60代、70代と患者数が増えていきますので、加齢が一つの原因と言えるでしょう。半月板損傷の原因でもお話ししましたが、年齢を重ねると身体の組織や機能は衰えていきます。膝関節の軟骨も年齢とともにもろくなり、衝撃をやわらげるクッションの機能が十分に働かなくなります。
加齢に伴い徐々に半月板が逸脱したり、損傷したりするために軟骨に機械的なストレスが加わるようになります。
脆弱化した軟骨に体重増加や姿勢の崩れなど膝への過度なストレスがかかると、どんどんすり減っていきます。すると、削られた軟骨の破片が骨膜を刺激し、異物が入ってきたと防御反応で炎症を起こして過剰に液体を分泌。「膝に水がたまる」というのは、この関節液が溜まっている状態のことです。
高齢の患者様を診察すると、半月板や軟骨がすり減って変形している方が多くいらっしゃいます。骨棘といってトゲのようなものができ、靭帯が切れているケースも多くみられます。
 

初期症状を見逃さず、早めに受診を

加齢によりもろくなってきた骨、軟骨に慢性的な荷重のストレスがかかることで、徐々に変形が進んでいきます。何年にもわたり炎症を繰り返し、60歳を超えると変形が顕著にあらわれてきます。初期は動作のはじめに違和感や痛みを覚える程度なので、見過ごしてしまう人も多いようです。
40歳を過ぎたら膝の違和感に敏感になりましょう。早めの治療で進行を食い止めることが期待できます。
 

膝のこわばり、曲げにくさを感じたら変形性膝関節症のはじまり

初期は、立ち上がるときや歩行開始時など、動きはじめに痛みを感じます。痛みで動けないほどではなく、なんとなく膝に引っかかりがある、膝がこわばる、曲げにくいといったものです。歩きはじめると痛みが自然とおさまるため、膝が痛かったことを忘れてしまいがちです。ここで、「あれ?」と思い、病院を受診できればいいのですが、「年だし…」「疲れているのかな」と、マッサージや湿布でやり過ごしてしまう人が多いようです。
 

階段の上り下りがつらく、痛みが消えないのは中期症状

症状が進むと、歩行や階段の上り下りのときに痛みを自覚します。深くしゃがんだり、正座をしたりするのも困難に。しばらく安静にしていると痛みがやわらいできますが、炎症により水がたまって膝が腫れることもあります。
 

じっとしていても痛い、膝がぐらぐらするのは末期

軟骨がすり減ってほとんどなくなると大腿骨と脛骨が直接ぶつかり、激しい痛みを引き起こします。歩行時はもちろん、座っているだけ、寝ているだけでも痛いので、生活に支障をきたします。歩くのが困難なので、家に引きこもりがちになり、筋力が低下。膝を支える筋肉が弱くなるので、さらに不安定な状態になってしまいます。
 

画像検査で変形程度を確認

病院では、患者様がどんな時に痛むのか、痛みの程度について聞き出し、触診で関節の変形程度、硬さ、動きなどを確かめてから画像による診断を行います。
レントゲン検査が一般的で、関節の変形程度、軟骨の摩耗を「K-L分類」で、グレード0からグレード4まで5段階に分類されます。
グレード2以上なら変形性膝関節症と診断されます。ただし、画像で診た症状と、痛みの度合いが必ずしも比例するとは限りませんので、複合的に診断をします。
 
グレード0
異常が見られない関節
 
グレード1
骨同士の摩擦や変形によって発生するトゲ状の「骨棘」がわずかに見られる
 
グレード2
明らかに骨棘が生じている状態。また、軟骨と軟骨の間が狭くなっている可能性(25%以下)がある。
 
グレード3
中程度の骨棘が生じている。関節裂隙(れつげき)が狭まっている可能性(50~70%以下)があり、関節が硬化している。
 
グレード4
著しく骨棘が生じている状態にあり、関節裂隙が狭まっている可能性が75%以上ある。関節は著しく硬化し、関節の輪郭が明らかに変形している。
 
 
治療法については、次回以降に解説します。
 

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