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再生医療

2023/12/25
【培養幹細胞治療の学び】静脈点滴による幹細胞治療で炎症を抑え動脈硬化症や難治性アトピー性皮膚炎の悪化を防ぐ
静脈投与による幹細胞治療についてお伝えする2回目は、動脈硬化症と難治性アトピー性皮膚炎でのケースです。いずれも患者様の症状によって効果はまちまちです。全ての方に同じような効果があるとは言い切れません。医師の説明をしっかりと聞き、疑問や不安を取り除いてから治療を受けましょう。
 
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高齢化と生活習慣の欧米化により動脈硬化症が増えている

動脈硬化症とは、体のすみずみまで血液や栄養を運ぶ動脈の壁が厚くなったり、血管が狭くなったりする病気です。
加齢、脂質異常症、糖尿病などに伴って、体の広い領域で動脈硬化が生じます。なかでも足の動脈が細くなったり、詰まったりする閉塞性動脈硬化症(ASO)は、今後も増加すると予測されています。
閉塞性動脈硬化症の患者様は、多くが高血圧、脂質異常症、糖尿病を合併しているのも特徴です。以前は閉塞性動脈硬化症の予後(病気の快復見通し)は比較的良いと考えられていましたが、合併症がある場合は2~3年後以降の長期的な生存率は低いことが判明しています。
 
 

生活習慣の見直しと薬物療法が一般的な治療法

動脈硬化症の発症には、さまざまな要因が複合的に関係することが知られています。従来の治療法で一般的に優先されるのは、生活習慣の見直しです。
食事面では、栄養バランスのとれた規則正しい食生活を心がけること、アルコールの過剰摂取を控えることがあげられます。運動面では、ウォーキングや水泳などを30分以上、週に3~4日行うことが推奨されています。
これらの生活習慣の見直しをしても症状の改善が見られない場合、薬物療法がすすめられます。コレステロールを減らす作用のあるスタチン系の薬剤や、肝臓での中性脂肪の産生を抑えてコレステロール排出を促すフィブラート系薬剤、中性脂肪を減らして血液をサラサラにする働きのあるオメガ3-脂肪酸製剤などが処方されます。
狭くなったり塞がったりした血液の通り道を改善するため、カテーテル治療やバイパス手術が選択されることも。
 

幹細胞治療により血流改善や炎症を抑えて悪化を防ぐ

動脈硬化症の幹細胞治療では、脂肪幹細胞を用いて行います。患者様のおへそ周辺より採取した脂肪から幹細胞を分離・培養して静脈点滴で投与します。
脂肪幹細胞は、自分を複製する能力と多様な細胞に分化できる能力を持つことから、血流改善や血管の再生に働きかけます。また、炎症を抑える物質を分泌する性質があり、炎症を抑えることで症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。
 
 

湿疹とかゆみが繰り返し発生し、長期化してしまう難治性アトピー性皮膚炎

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アトピー性皮膚炎というと、小児期に多い病気というイメージですが、実際は成人になってからも治らないケースや、成人になってから発症するケースもあります。
主な症状は湿疹とかゆみが体の一部、あるいは広範囲にわたって断続的に発生します。症状が良くなったり、悪化したりを繰り返すことも特徴で、気候の変動や花粉などの季節的な外的因子に影響される場合も多くあります。かゆみを我慢できずに皮膚をかきむしると、悪化して皮膚のバリア機能が低下してしまいます。すると、皮膚内部の水分が保持できず、外部からの刺激物が乾燥した皮膚に入りやすくなります。この悪循環が繰り返し発生することで、症状が長期化してしまい、なかなか治らず「難治性」となってしまうのです。
 
 

抗アレルギー薬など薬物療法を用いても治療の難しさがある

アトピー性皮膚炎の治療は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、免疫抑制薬などを用いた薬物療法が一般的です。しかし、長期使用することで副作用が出ることもあり、使用量や期間をコントロールしながら行うことが必要で、治療に難渋するケースも。
なかでも「かゆみ」はQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を低下させる自覚症状のひとつで、かゆみに耐え切れずかいてしまうと皮膚炎の悪化や感染症、合併症の誘因となるので、そのコントロールは重要です。
 
皮膚の病気というだけではなく、症状を抱えながら生活していくことの難しさも指摘されています。小児期から続く厳密な食事制限による成長障害が現れることも。また、アレルギー物質を生活環境から排除したり、食事に気をつかったりなど親や家族に大きな負担がかかり、育児ノイローゼや引きこもり、不登校、休業、失業など社会的課題が浮かび上がってくる病気でもあります。
 

中等度のアトピー性皮膚炎は幹細胞治療で症状が軽減することが期待できる

治りにくいとされた難治性アトピー性皮膚炎に対し、自分の幹細胞を用いる幹細胞治療が功を奏するという報告がなされ、当クリニックでも2018年10月から脂肪幹細胞による治療を開始しました。
静脈に点滴投与された脂肪幹細胞は、難治性アトピー性皮膚炎に大きく関与するタンパク質の出現を抑えると考えられています。皮膚の炎症とかゆみを誘発する働きがあるタンパク質「インターロイキン3」と「インターロイキン14」です。
繰り返しになりますが、効果には個人差がありますので、全ての人に確定した効果がもたらされるわけではないことを頭に入れておいてください。
 
 
再生医療を目的として受診する医療機関を選ぶときには、厚生労働省に届出をした医療機関であるかを必ず確かめてください。厚生労働省のホームページでも確認できますし、医療機関のホームページなどに「第二種再生医療等提供計画番号を取得」と明記しているかどうかも判断基準になります。

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