がん(婦人科がん、乳がん)の手術でリンパ節を取ったことがある、骨盤や腋に放射線を当てたことがあるなどの病歴があり、その側の足や腕がむくむ場合はリンパ浮腫(2次性リンパ浮腫)である可能性が高いです。手術をしていなくてリンパ浮腫となることもあり、その場合は1次性リンパ浮腫と呼びます。そのほか、静脈瘤による浮腫、低栄養、腹水、腎不全による浮腫、それらの合併もありますので診察により見分ける必要があります。
手術のあとのリンパ浮腫が発症するタイミングは様々で、術後すぐに発症する場合も、5年10年たってから起きる場合もあります。リンパ浮腫は次第に症状が進むので、発症してからどれくらい経過しているかも重要な診断ポイントです。経過時間によってむくみの固さ、蜂窩織炎の頻度、皮膚の性状が異なり、最適な治療方法が変わってくるのです。
より詳しく診断するには
より詳しい診断のためには、リンパ管造影(リンパシンチグラフィーやICG蛍光造影)によるリンパ管の描出が必要です。リンパ管造影では、リンパ管の輸送機能(早いか遅いか)、リンパ管が通っている部位(前か後ろか)、閉塞している部位、漏れている部位が一目瞭然となります。これを元にして、治療メニューを決めたり、治療効果を予測したりすることが出来ます。
■ 超音波検査
皮下に溜っているリンパ液、脂肪組織の変性を検査することが出来ます。触診や周径の計測だけでは分からないリンパ浮腫の重症度を評価できます。
■ インドシアニングリーン(ICG)リンパ管造影
リンパ管にとりこまれる造影剤(インドシアニングリーン)を皮下に注射してリンパ管の流れを撮影します。リンパ管の正確な位置とリンパ液が漏れている部位を確かめるために行います。
■ リンパシンチグラフィー(連携病院)
リンパ管にとりこまれる造影剤(ラジオアイソトープ)を皮下に注射してリンパ管の流れを撮影する放射線検査です。手足のどの部位でリンパ液が鬱滞しているか、リンパ管の輸送能がどれくらい保たれているか見ることができます。
造影剤を足先、手先に注射して、リンパ管の中の造影剤の流れ方を評価します。