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再生医療

2024/09/17
【股関節と再生医療Vol.4】変形性股関節症の人工股関節置換術で起こるリスクと術後のリハビリ
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股関節は歩行など日常動作に欠かせない関節で、長年使い続けることで軟骨が徐々にすり減り炎症を起こします。これが変形性股関節症です。
生活習慣の見直しや運動療法、薬物療法によって痛みが軽減されず、症状が進行して立ち上がるのもつらい、歩くことができないなど日常生活に支障をきたす場合は手術療法を検討することに。
手術ですからリスクはつきもの。また、人工関節に置き換えたからといってすぐに日常生活に戻れるわけではありません。今回は、人工股関節置換術におけるリスクと、術後の生活について松﨑医師に伺いました。
 

人工股関節置換術を受けるタイミング

変形性股関節症の初期症状は脚のつけ根の違和感や痛みです。立ち上がるときや一歩踏み出すときに違和感を覚えますが、しばらくすると気にならなくなることが多いので病院を受診することなく月日が経ってしまうことも。気づかないうちに症状が進行している場合もありますが、初期の段階で受診すれば即手術ということにはなりません。Vol.3でお話ししたように、まずは股関節への負担を減らすために体重管理や運動療法を行います。
 

外出が億劫、仕事が滞るなど日常生活に影響が出たら考えるとき

症状が進むと、軟骨のすり減りにより可動域が制限されます。すると立ち上がるのがつらい、靴下をはくことすらできないなど日常生活に影響が出てきます。鎮痛剤を使っても痛みが緩和されない、痛みで眠れないなど強い痛みも症状が進行しているサインです。
痛みは生活の質を落とすもと。思い通りの生活が送れなくなってくる前に手術を検討したほうがいいでしょう。
 

人工関節の寿命を考えると60代以降が目安

人工関節は永久に使えるわけではありません。時間の経過とともに、人工関節がゆるむこともあれば、人工関節そのものが劣化してきます。そうなった場合、再手術の可能性も。一般的に人工関節の寿命は20~30年と言われていますので、60代半ばが手術の適正年齢と言われています。
変形性股関節症の発症年齢は平均40~50歳。40代で人工股関節置換術を受けた場合、60代で再手術になるかもしれません。ただ、40代は働き盛り。歩行困難で仕事ができなくなるのは困りますよね。症状が悪化する前に手術を検討することもあります。
年齢はあくまでも目安。生活の質をいかに保つか、充実した生活を送れるかを考えて手術を検討します。
 

人工股関節置換術のメリットとリスク

症状を改善するために行う手術ですが、手術と聞くと患者様はやはり不安になるものです。麻酔をし、メスで体を切るわけですから当然です。治療の選択肢を提示する際、手術を受けるメリットとリスクも必ず説明し、最終的には患者様が決断することになります。
 

痛みが軽減し、生活の質が上がる

人工股関節置換術のメリットは、痛みから解放されることです。それまで痛みをかばうように歩いていたため、姿勢が悪くなったり、ほかの関節に負担をかけていたりしたので、それらの改善にもつながります。
関節が安定しますので、歩行がしやすくなります。リハビリが必要ですが、行動が制限されていた方も積極的に外出できるようになり、充実した生活が送れるようになるでしょう。
 

術後は合併症のリスクもあり

人工股関節置換術に限らず、どの手術においても起こり得るのが感染症です。手術創部から細菌が入ることもあれば、むし歯や歯周病など口腔内の細菌、皮膚の傷などから感染することもあります。人工股関節はその名の通り人工なので、血液が流れていません。そのため、感染に対する抵抗力がなく、一度感染してしまうと人工関節を入れ替える手術をすることになります。感染症リスクを避けるためには、手術前後の体調管理が大切です。
血栓にも注意が必要です。手術中と術後すぐは脚を動かすことができませんので、下肢の血流が滞り血の塊ができやすくなります。血栓予防のために手術中は弾性ストッキングやフットポンプを用います。術後も理学療法士の指導のもと、脚を積極的に動かして血栓ができないようにします。
 

人工股関節が安定するまで脱臼の恐れも

術後、股関節まわりの筋力が安定するまで、まれに脱臼することがあります。脱臼すると激痛があり、歩行が困難になります。その時はすぐに病院へ。
脱臼のリスクを下げるためには、リハビリをしながら筋力をつけることが大切です。また、術後は正座や横座り、しゃがむ姿勢は避けるようにしましょう。布団から起き上がる、靴下や靴の脱ぎ履きの姿勢にも注意が必要です。
人工股関節置換術は複数の切開方法(アプローチ)があります。主に、お尻側から切開する後方アプローチ、太もも側から切開する前方アプローチ、太ももの外側からの側方アプローチです。それぞれのアプローチによって術後の注意点が異なるので、医師からの説明をしっかりと聞きましょう。
 

日常生活に戻るためにはリハビリが大切

術後は禁忌肢位に気をつけながら、リハビリを行います。筋力をつけ、可動域を広げ、歩行ができるように医師と理学療法士がプランを立て、指導を行います。
手術の翌日から開始することが多く、退院後も継続してリハビリをすることで日常生活を送れるようになります。
人工の関節とはいえ、体重が増えれば負担がかかり再発の恐れも。リハビリを行いながら、体重管理も継続して行っていきましょう。
 
 
手術にはメリットもあれば、リスクもあります。また、人工関節は経年劣化するため再手術は避けられません。体への負担やトータルの治療期間を考えたとき、手術を選択することに躊躇する患者様もいらっしゃいます。痛みを軽減する有効な手段として切らずに治療する再生医療が注目されています。医師と相談しながら、治療の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。当クリニックでも相談を受け付けています。
 

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