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再生医療

2023/06/30
寺尾先生と幹細胞の点滴について対談・後半~身体的フレイルに対する幹細胞治療とプレフレイルについて

こんにちは、アヴェニューセルクリニック院長の井上啓太(いのうえけいた)です。

今回は前回に引き続き、お茶の水セルクリニックの寺尾先生と対談をさせていただきます。

このブログは後編になりますので、前編をお読みでない方はこちらからご覧ください。

お茶の水セルクリニックの寺尾先生と対談(前半)

 

身体的フレイルに対する幹細胞治療とは?

 

井上医師

最後3つ目がフレイルですが、点滴の対象疾患ということでご説明をいただけますでしょうか?

 

寺尾医師

フレイルは“介護の一歩手前の状態”“健康と介護の間の状態”という表現の仕方をされることが多いです。

本来、フレイルは、身体的フレイルや社会的フレイルなど色々な種類のフレイルがあります。

その中で当院では身体的フレイルに対して幹細胞治療を行っています。

 

年齢に伴う筋力低下.png

 

井上医師

「フレイルとは何ですか?」とよく患者さんに聞かれますが、寺尾先生はどの様に説明していますか?

 

寺尾医師

年齢に伴う筋力低下”や“関節が硬くなる”など、だんだん体の機能が落ちはじめている状態とお伝えしています。

 

井上医師

フレイルというのは英語で“グラグラする”という様な意味に近いですね。

ただ日本語では人に対してグラグラと言わないので「ヨボヨボになる」と表現すると近いかなと思います。

 

寺尾医師

その言葉の方が確かに分かりやすいかもしれないですね。

フレイルの定義としては

1)体重減少

2)疲労感

3)活動量低下

4)緩慢さ(歩行速度低下)

5)虚弱(握力低下)

などいくつか指標があります。

 

ただ内科の病気の様に血液検査をして、この数値だからこの病気に当てはまりますという事はしません。

上記のいくつ当てはまったので「フレイルの状態では?」と診断します。

 

フレイルという状態.png

 

井上医師

幹細胞の点滴は、フレイルに対して効果はありますか?

 

寺尾医師

以前、身体的フレイルの研究をしていた先生がいました。

動物実験で幹細胞を点滴して運動をさせると、筋肉のつき方が良くなったそうです。

もちろん動物と同じようにうまくいくかどうかは考えるところもありますが、弱った筋肉に対しては効果があると考えられます。

 

筋肉も効率よくつく.png

 

井上医師

身体的フレイルに臨床試験もいくつか行われていて、幹細胞を点滴すると介護のリスクが下がるというエビデンスは出てきてますよね。

 

寺尾医師

動物実験では、投与と同時に運動負荷をかけると筋肉が発達した様です。

筋肉は運動しない限り絶対に付きませんので、体の条件を整えた上でトレーニングで筋肉を動かしていく事が大事です。

ただ身体的フレイルの状態になると、頑張ってトレーニングをしても筋肉が付かない事が多いです。

そこで幹細胞でアシストしてあげて、トレーニングと栄養介入もして体を作っていくのが理想的です。

 

幹細胞をやりつつ運動もする.png

 

 

フレイルの前のプレフレイルとは?

井上医師

プレフレイル”という状態がありますよね?

これに関しては、どの様にお考えでしょうか。

 

寺尾医師

“プレフレイル”はフレイルのチェックの数が少ないが、もう1個項目が増えてしまうと身体的フレイルになりそうだから、早めに対処しましょうということで

プレフレイルという病名があります。

やはり早めに対処できた方が、回復も早いのが身体的フレイルの特徴です。

 

プレフレイル.png

 

井上医師

PPK(ぴんぴんころり)という言葉がありますよね。

私は、PPKをプレフレイルの患者様にお話しします。

人生で最低レベルの健康がありますが、年齢と共に最低レベル以下にどうしても割り込んでいってしまいます。

年齢を重ねても自分で歩けて好きな事ができていて、ピンピンしていて突然コロリと逝っていただくのが良いですよとお話しています。

プレフレイルの方に対する幹細胞の点滴の考え方は、最低の健康レベルを上回る状態の時に治療を始めて欲しいと思っています。

 

寺尾医師

私の父が老人病院で勤務していた医師だったので、私も手伝いに行っていました。

やはり体が動いている方は、体を良い状態に保ちやすいです。

少し動き始めるだけでも、そこからグッと体の状態が回復もします。

例えば、幹細胞点滴をキッカケにして運動をしてもらえるといいですね。

 

井上医師

当院には60代前半で体力の衰えが気になるという事で、来院される方もいらっしゃいます。

プレフレイルの治療目的で、幹細胞の点滴を希望されますね。

寺尾先生は、その様な方に幹細胞の点滴をする場合、頻度はどのくらいで行いますか?

 

寺尾医師

理想を言えば、半年に1回ぐらい続けていくのはいかがでしょう?とお伝えはしています。

やはり入れた細胞は消耗品だと思ってるので、ある程度すると入れた分は消費してしまいます。

もちろん元々体の中にいる細胞も働いているので、全くなくなるという事はありませんが、細胞が減るタイミングで足してあげると効果的に幹細胞の作用を持続的に続けられます。

 

井上医師

やはり消耗するので、定期的に細胞を投与した方が良いという事ですね。

特に年齢が高い人ほど、密にやった方が良いと思っています。

 

高齢者ほど密に幹細胞治療.png

 

寺尾医師

どうしても体内の幹細胞数は、年齢とともに下がってしまいます。

細胞が少ない状態だと回復するのに時間がかかってしまうので、早めに治療を始めてもらうといいですね。

 

井上医師

今日は幹細胞の点滴について、お茶の水セルクリニックの寺尾先生をお招きしましてディスカッションさせていただきました。

普段は肌の再生医療についてシリーズでお伝えしていますが、時々この様な少し分野を外れた形から幹細胞についてお話しさせていただきます。

より幹細胞に対する理解が深まると幸いです。

寺尾先生、今日はどうもありがとうございました。

 

寺尾先生を招いてディスカッション.png

 

こちらの内容は動画でもご覧いただけます。

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