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再生医療

2023/06/06
寺尾先生と幹細胞の点滴について対談・前半~脊髄損傷と腰痛や座骨神経痛などの慢性疼痛への幹細胞治療について

こんにちは、アヴェニューセルクリニック院長の井上啓太(いのうえけいた)です。

今回は、お茶の水セルクリニックの寺尾先生にお越しいただきまして、幹細胞の点滴について一緒にお話していきます。

 

寺尾医師

私の専門は整形外科で、お茶の水セルクリニックでは主に幹細胞を使った治療を行っています。

長い事細胞治療を行なっており、様々な身体の不調に関与できたらと思い頑張っております。

 

お茶セル寺尾先生.png

 

井上医師

お茶の水セルクリニックは整形外科専門ということで、幹細胞の点滴治療もされていますが、どの様な治療目的で行っていますか?

 

寺尾医師

点滴治療に関しては、まず一番最初に脊髄損傷という症状に対する病態として始めました。

その次に、慢性疼痛という病態に対して治療を始めております。

痛みは、なかなか原因を取り除いても残ってしまうケースがあります。

その慢性疼痛に対して点滴で痛みをしっかり抑えて、日常生活を少しでも楽にしていきます。

 

あともう一つは、フレイルという病態にも幹細胞の点滴治療を行なっています。

年齢とともに筋力が弱ってしまい、介護の一歩手前くらいの状態になったものをフレイルと呼びます。

フレイルに対して幹細胞を使って、介護状態の前に食い止めるようにします。

その様なコンセプトのもと、この3つの治療を行ってます。

 

井上医師

脊髄損傷に対する幹細胞の点滴だと、保険承認されている骨髄来幹細胞のステミラックというのが有名ですよね。

寺尾先生のところではTOPs細胞®ということで脂肪由来幹細胞ですよね。

効果としてはどうでしょうか?

 

寺尾医師

理想を言えば、点滴で細胞を入れて麻痺した所が動くようになるというのが理想ですが、なかなかそこまで到達することは難しいというのが正直な印象です。

ただ、脊髄損傷の後に痛みがずっと残っていたり、むくみが出てしまうなど、機能回復する以外にも脊髄損傷で日常生活に支障が出る病態っていくつもあります。

その様な脊髄損傷の随伴症状に対しては、劇的に効くことはあります。

麻痺している所の動きが回復することを期待しつつ、少しでも生活を楽にしていきましょうというコンセプトで幹細胞の点滴を行っています。

 

井上医師

むくみも良くなるのは、どういう機序だとお考えですか?

 

寺尾医師

調べてみてもはっきりとした事はわからなかったのです。

ただ経過の長い首の脊髄損傷の方で、点滴した後からみるみる手の腫れが引いていき、むくんでいるから動かしにくかったところが動かしやすくなったという事例があります。

 

井上医師

アヴェニューセルクリニックではリンパ浮腫に対して、局所注射(TOPs細胞®)を行っていますが、

むくみに効くというよりは、どちらかというと痛みに効きます。

でも当院では、点滴はしたことありません。

もしかしたらむくみには、幹細胞の点滴が効くかもしれないですね。

 

寺尾医師

脊髄損傷の後のむくみってCRPSの様にむくみます。

むくみに対しては、想定していた以上に効いてくれるケースがありますので、その様な症状で困っている方の治療の選択肢にはなるかもしれません。


※複合性局所疼痛症候群(CRPS)とは

組織的には治っているのに痛みが慢性的に続いてしまう病態のこと

 

井上医師

局所注射は注射したところにしか効きませんが、点滴注射は全身を巡っている静脈内に投与します。

体の炎症があるところに幹細胞が次々と行き、炎症を沈めてくれます。

局所注射では出なかった効果が、点滴の投与ではある様な気がします。

 

血流が巡る.png

 

寺尾医師

末梢の神経は血管に随伴する形で入っていますので、点滴などで入れてあげた方が体の隅々まで行き渡る事はあり得えます。

 

井上医師

局所注射で打つ時は「ここが痛いのかな?」「ここに炎症があるのかな?」と医師が考えて打ちます。

医師には見えていない、細い炎症まで点滴の場合はちゃんと行き渡ると考えたら良いでしょうか?

アヴェニューセルクリニックでも、点滴のメニューがあります。

点滴をしたら関節の痛みが良くなった人がたまにいらっしゃいます。

それも同じような理由ですか?

 

寺尾医師

関節の痛みは、関節の中からくるものと周囲からくるものの両方があります。

関節の周囲までは血流も豊富で、点滴で届いてくれています。

ただ直接関節の中までというと、なかなか届いていないと思います。

 

井上医師

軟骨の部分の病変や、軟骨下骨までは届きますか?

軟骨下骨は、血管があるので点滴をしても幹細胞が行くはずです。

軟骨下骨の病変の痛みについては、局所注射ではなくても点滴でも効くのではないかと考えられています。

 

寺尾医師

あと膝だと半月板の内側は、血流がほぼないので点滴だと届かないです。

半月板の治療の場合は、点滴で周りから幹細胞を行き渡らせて、同時に局所注射で関節の中にも幹細胞を入れるという方もいます。

点滴と局所投与の特性を活かしてあげる事が大切です。

 

慢性疼痛についての質問

 

井上医師

次は慢性疼痛の質問をさせていただきます。

寺尾先生は、慢性疼痛に対して幹細胞点滴をされていますが、どういう患者様が多いですか?

 

寺尾医師

やはりお茶の水セルクリニックのベースの領域が整形外科なので、腰痛や坐骨神経痛などの症状が多いです。

慢性疼痛の定義としては、基本的に3ヶ月以上継続している病態であれば全部慢性疼痛に入ります。

何か原因になる病気があれば、その病気の治療をするという事になりますが、慢性疼痛はレントゲンやMRIなどで原因がはっきりしないケースも多いです。

慢性疼痛の方は、幹細胞の点滴をして抜群に効くというケースもあります。

 

腰痛坐骨神経痛が多い.png

 

井上医師

治療困難な腰痛や坐骨神経痛で常に鎮痛剤などを使われている方は、幹細胞点滴治療を一回試してみる価値はありますよね。

 

寺尾医師

単純に痛みがある箇所の炎症を抑えるだけではなく、慢性疼痛の時は神経の周りに白血球が変にこびりついて持続的に痛みが出ているというケースがあると言われています。

その白血球をうまく取り除いてくれる作用も幹細胞点滴治療にはあると言われています。

 

井上医師

痛みの元は炎症ですが、炎症というのは白血球や免疫細胞が集まってきている状態です。

それを誘引するケモカインサイトカインというのが局所から出ています。

幹細胞は、サイトカインとかケモカインを中和する働きがあります。

そのため幹細胞治療は、根本的な痛みを取る治療法になっています。

お茶の水セルクリニックは、大体1回の治療で大丈夫ですか?

 

寺尾医師

基本は1回の治療で効果が出る事が多いです。

細胞を採ってからTOPs細胞®に仕上げるのに約1ヶ月なので、最短1カ月で投与する事ができます。

2回目の投与も、お腹から脂肪を採らなくても大丈夫な様に準備をしています。

その際の細胞の保管は無料で行わせていただきます。

 

井上医師

1回で効くというのがすごいですね。

鎮痛剤を飲み続けている方が、点滴1回で1年以上飲まなくて済むということですよね。

点滴一回でOK.png

寺尾医師

体の痛みが続いてると、気分が落ち込んでしまいます。

痛みはメンタルコンディションとの相関が強いので、気分が落ち込んでいくと同じ刺激でも痛みが感じやすくなってしまいます。

幹細胞の点滴を受けていただいた方で、痛みも減ったけど凄くやる気が出てきてポジティブな気持ちになってきたという声が多いです。

 

井上医師

それは、私も経験があります。

当院では、脳梗塞の後遺症に対して点滴をしていますが、たまに抑うつ傾向の方がいます。

その方に幹細胞の点滴をすると、非常に気分が前向きになるとおっしゃる患者さんもいます。

 

寺尾医師

この前、日本再生医療学会という学会がありセッションを聞いていたら、うつ病もだいぶ慢性炎症との相関が強いと話しをしていました。

脳内の継続してしまう慢性炎症が、うつ傾向なりうつ病を引き起こすのではといった事も発表されていました。

 

気持ちがポジティブになっていただけると、トレーニングとか運動とかしやすくなります。

やはり慢性的に痛みがある方は、運動をするモチベーションにならないので、幹細胞治療をきっかけにして運動を行なってもらいたいですね。

 

こちらの内容は動画でもご覧いただけます。

 

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