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再生医療

2022/11/30
【Dr.もといの再生医療最前線!】14.IT革命

「君子は其の己に在るものを敬して、其の天に在るものを慕わず。ここを以て日に進む。」 荀子 天論

 

調べ物をするとき、皆さん何を使われていますか?

20年前まで、人に聞いたり、本屋さんや辞典などを開いたりが主流だったとおもいます。ところが今ではめっきりパソコンやスマホでyoutubeやgoogleを開きます。小学校ではgoogleでの検索方法を授業に取り入れたりしているようですね。

 

われわれ医療の世界でも、最新情報のアップデートにはインターネットが不可欠です。教科書や印刷された論文ももちろん利用しますが、やはり最新の内容になるとネット検索します。

 

なかでも、分野の専門家がこれまでに発表された論文をたくさんまとめて解説するという論文は便利です。いわゆるレビュー論文ですが、教科書ほどではないにしても、ざっくりと全体像をつかむのに活用しています。

 

以前紹介しました、学術雑誌の最高峰の一つNatureで再生医療のreview論文について検索すると、たくさん出てきました。本日紹介するのは2020年に米国から報告された論文です。

 

再生医療の歴史について、以前再生医療の歴史として触れた内容と重なる部分もありますが、大変興味深く面白いものでした。

 

1950年代に一卵性の双子間で骨髄移植が行われたことに端を発します。1975年にパーキンソン病患者に胎児組織の移植に関する安全性が報告され、2000年に脂肪由来幹細胞の移植が初めて人に対して行われると、加速していきます。それまでは採取した細胞を培養して戻す、いわゆる第一世代の再生医療が進化します。

 

2007年にiPS細胞作製の方法が報告されると、採取した細胞に多分化能を獲得させて利用する、いわゆる第二世代の再生医療が2012年に臨床応用されます。時を同じくして、2010年前後にCRISPR-Cas9などの遺伝子改変技術が確立すると、部分的な遺伝子操作を加えた細胞を用いた治療、第三世代の臨床応用が2013年にはじまりました。

 

世代を経るごとにどんどんと狙った部分に操作を加えることができるようになってきており、いわゆるオーダーメイド治療に近いことが可能な将来が見えてきています。

 

こうした背景に時代としてのニーズがかかわっているのかもしれません。病気を治す医療から、未然に防ぐ予防医学の重要性は古くから言われています。本邦においても保険医療の転換が2013年に厚生労働省より保険医療2035という形で提案されています。まさに量から質へ、キュアからケアへと変わりつつあります。

 

デジタル化の進展に伴って情報量は爆発的に増加しています。データ流通量でみると、直近10年ほどの間に毎年20%以上の増加率と言われています。

IT革命という時代の潮目に生きるわれわれが、これから描いて作り上げていくsociety 5.0において、医療はどのように発展していくのでしょうか。

次はどんな時代になるのか、楽しみです。

 

ではまた!

 

(加藤基)

 

参考資料

 

Kimbrel, E.A., Lanza, R. Next-generation stem cells — ushering in a new era of cell-based therapies. Nat Rev Drug Discov 19, 463–479 (2020).

 

総務省 情報量推移

総務省|令和2年版 情報通信白書|データ流通量の推移 (soumu.go.jp)

 

保険医療2035提言

【新ビジョン公開】2035年、日本は健康先進国へ。 | 保健医療2035 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

 

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