こんにちは。アヴェニューセルクリニック院長の井上啓太(いのうえけいた)です。
今回は前回に引き続き、肌再生治療のメカニズムの詳細について解説していきます。
前回のブログはこちらをご覧ください。
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肌の老化に対して幹細胞(TOPs細胞)の注射を打った時の臨床試験が行われています。
臨床試験というのは、人を対象にして科学的にデータを取って検証するという試験です。
一般的な臨床実験は、治療をした方としなかった方を比較するデータを取るのですが、肌の美容に関する実験は厳密には難しいです。
その様な中で、非常に優れた臨床試験があります。
フェイスリフトで皮膚を引っ張って切り取る手術を予定されている、イタリアとブラジルの方々で6人の患者さんが協力しています。
切り取る予定の皮膚に幹細胞を打って、もう片方は打たないという臨床試験を行いました。
その後に皮膚を切り取って顕微鏡で観察して、どの様な変化が起きるのかを調べました。
2014年にPlastic and Reconstructive Surgery(和訳:形成外科および再建外科)という形成外科の中で、一番信頼ができる医学誌の中に掲載された論文をご紹介します。
こちらは、皮膚の断面図になります。
表皮、真皮、皮下脂肪があります。
この3つの組織の詳しい説明はこちらのブログをご覧下さい。
臨床試験で細胞を打ってない組織を比較したところ、
肌の張りを生む役割をするエラスチンである弾性線維(だんせいせんい)が
細胞を打った側では、非常にたくさん増えている事がわかります。
細胞を打っていない状態の弾性線維は細いですが、
それに対して、細胞を打った方の弾性線維は太くなっています。
毛細血管にも変化があります。
やはり細胞を打った方のデータは、皮下脂肪の境目辺りにたくさんの新しい血管があります。
この論文でわかる事は、細胞を肌に注射すると弾性線維と血管が増えて、肌の弾性が増すという事です。
この様なメカニズムがあり、幹細胞治療によって肌再生の効果が出るという事が証明されています。
今回の内容は動画もご覧いただけます。