
少し日差しの暖かい日が出てきたように思います。皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて本日は、リンパ浮腫の話です。とは言っても臨床のことは様々言われているので、一般的には目にすることが少ない(かもしれない)、研究・動物実験の話です。
ヒトの病気を解明するため、治療法を開発するために、さまざまな方法が取られています。シャーレの上で培養した細胞を使ったり、数学的な計算に基づいて予想したり、すでに治療された方のことを後から調べて治療効果はどうなのかを検証したり。なかでも動物実験は、それなくして今の医療の発展はありえないほど、現在の科学における重要なものの一つです。
生きた動物を使いますので、もちろんのことですが、他の方法に置き換える、必要な最小の動物数にする、苦痛をできるだけ減らすように努力する、などが基準として定められています。3Rとして有名な内容ですが、1959年に提唱され、今も研究者はこれを守って実験しています。止むを得ず使用するに限っている、と言うことです。
さて、リンパ浮腫の病態を理解すること、治療法を開発すること、においても動物実験は重要な役割を果たしてきています。ブタ、犬などが当初使用されていましたが、近年はネズミを使うことが多くなっています。
特にネズミの尻尾を使った実験は、21世紀になって数多く報告されるようになり、近年最もよく使われるモデルの一つです。尻尾の皮膚の一部をくるりっと一周切り取ると、切り取った部分よりも先っぽ側に浮腫が起きて、リンパ浮腫に近い状態を起こします。この”むくんだ”尻尾を使って、リンパ管がどのようにつながってくるか、治療効果はどうかなどの検証が行われます。
しかしどのモデルも完璧なものはなく、ネズミの尻尾だとリンパ管は極めて細いため、リンパ管静脈吻合術などが人の手足のようにはできず、全く同じように評価できない、などの問題点もあります。
将来的に動物実験など必要ない社会が達成できれば、それに越したことはありません。しかしこれら科学的な検証の積み重ねが今の高度な医療を作ってきたという現実も無視できず、実験の結果や動物愛護の重要性に真摯に向き合いつつ、医療に生かしていくことが大切だと考えるこの頃です。
ではまた!
(加藤基)
参考資料
リンパ浮腫の動物実験モデルに関する総論
動物実験 wikipedia