再生医療を受ける人が多くなってきて、安全性を確保するのって大事だよね、そのためにはトンチンカンなことをやっている施設がないように決まりを作りましょう、というのが再生医療法です。
2013年11月27日に公布され、8年以上経過していますので、けっこう経ったなという印象ですが、私が形成外科医の歩みを始めたころにはまだ法整備されていませんでした。形成外科の専門雑誌などに紹介されていて、勉強したいなあなんてぼんやりと思っていた治療が、実際に法規制の対象になったということを鮮明に記憶しています。悪い意味ではなくて、ちゃんとした決まりに基づいてやりましょうという対象になったという意味ですが、法といわれると少し背筋が伸びる思いです。
さてざっくりいうと安全性の観点から3種類に分類されていて、松・竹・梅あります。一般的なことですが、薬としての効果が強いもの≒副作用も強く出るリスクがあるもの、ということでそれぞれ強いものから順に第1種,第2種,第3種と分類されています。
だいたい、
iPS細胞などから作った細胞シートを投与するのが第1種
自分の細胞をとってきて、幹細胞などを培養してから投与するのが第2種
自分の血液をとってきて、重要な部分だけを集めたものを投与するのが第3種
くらいのイメージです。
さて2020年から見直しに関するワーキンググループ(専門家の会議)が進んできましたが、2021年11月にワーキンググループとりまとめが報告されています。
今回新たに提案されている内容として興味深かったのは、
遺伝子治療 とくにin vivo遺伝子治療(遺伝子に作用する薬を投与して患者さんの体の中で反応を起こす治療法)に対する法的枠組みが追加、
加速度的に進む技術発展に対して将来的に可能となりそうな技術を想定した法的枠組みをあらかじめ設定される、
PRP(血液の中から重要な成分を抽出して投与する治療法)が限定つきではあるが除外対象となる、
エクソソーム(細胞から発せられるメッセージを包んだ袋のようなもの)等は現時点では対象としない
などでした。
いやー法整備って全くの素人でわからないことだらけですが、これから新しい技術がどんどんと出てくる中で、それらを予想して前もって手を打っていく、というのは実に大変そうです。
遺伝子治療の定義も、「最終的にタンパク質等の発現、発現制御のいずれかを行う技術」その通りですが、言葉にするのって大変ですよね。当然ですが、DNAは転写されてタンパク質の発現に係る、改めてタンパク質の重要性を感じました。
ではまた!
(加藤基)
参考資料
wikipedia 再生医療等の安全性の確保等に関する法律
NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220428/k10013602691000.html
厚生労働省HP 再生医療等安全性確保法の見直しに係るワーキンググループ
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_127344_00001.html