再生医療の「いま」を専門家たちが語る場。その大きな一つが、日本再生医療学会総会です。今年は3月に完全オンラインで開催されました。
全国各地の再生医療に携わる専門家がそれぞれの研究や実績について語り、様々な議論を交わすことで、知識を深めたり着想を得たり。次の研究や臨床に活かすための情報収集の場です。
なかでもシンポジウムは、トピックごとに焦点を当てて、選りすぐりの専門家が壇上に上がります。医師になりたての頃、シンポジストの先生方がかっこいいなと憧れた記憶が蘇ります。
さてさて、脂肪由来幹細胞を中心とした間葉系幹細胞に関するトピックでは、ALS(筋萎縮性側索硬化症;難治性の神経の病気です)、認知症、肝硬変、IgA腎症と様々なものに対する応用が発表されていました。神経や内臓の病気に広く応用されていることがわかります。
また、学会として独創的な取り組みとして、中高生のためのセッションと言うものがあります。講演を聞いたり、学会を見たり、発表したり、作文を書いたりするようです。今年はコロナの影響で作文だけの開催でした。
今年の作文金賞は、「感じる必要のない苦痛」と題した高校一年生の作品でした。共創という今回の学会のテーマに沿った内容で、皆が当事者意識を持つことで感じる必要のない苦痛を取り除くことができる社会を共に創ることを目指したいと、力強いメッセージです。
日本が誇る先端分野の一つである再生医療の専門家たちが、若い人たちの興味を促し 後の世代にバトンを渡していく取り組みとして、とても良いことだなと感じました。自分が高校生の時にこのことを知っていたら、きっと参加したいと思っただろうなと。ま、作文は特に苦手な分野でしたし、受賞なんてとてもできなかったでしょうが。
ではまた!
(加藤基)
参考資料
第21回 日本再生医療学会総会プログラム
http://www.congre.co.jp/jsrm2022/dl/program.pdf
中高生のためのセッション 金賞作品(同学会HPより)
http://www.congre.co.jp/jsrm2022/dl/prize_gold.pdf