胎盤由来の造血幹細胞から作成したNK細胞(免疫細胞)を、コロナウィルス感染症治療に用いる臨床試験に対して、アメリカFDAがゴーサインを出しました。
胎盤には幹細胞(造血幹細胞と間葉系幹細胞)が含まれています。胎盤に付着しているものに臍帯(へその緒)がありますが、臍帯から得られる臍帯血には造血幹細胞が多く含まれ、造血幹細胞移植を行う上でとても重要な存在であることはご存知かもしれません。胎盤も臍帯と同じく、幹細胞の採取材料として用いることができるんですね。
造血幹細胞はあらゆる血液の源です。赤血球や白血球、血小板など、血管を流れている細胞はすべて造血幹細胞から分化します。そのなかにNK細胞という免疫細胞があります。N細胞は体内に侵入した異物や病原体を攻撃して排除する免疫細胞です。
アメリカ、ニュージャージー州のCelularityが開発したのは、CYNK-0001という"Off the Shelf"(=必要な時にすぐに使える)細胞製剤です。CYNK-0001は、胎盤から造血幹細胞を抽出し、NK細胞に変化させて保存したものです。これをコロナウィルス感染症の治療のために使用した場合、有効かどうか臨床試験(IND=investigational new drug applicationとしての使用)が計画され、これに対してFDA(日本の厚生労働省に相当するアメリカの政府機関)が承認を与えました。最大86人まで患者に投与される予定です。
New York Timesの報道記事
https://www.nytimes.com/2020/04/02/health/stem-cell-treatment-coronavirus.html
Forbsの記事
開発者とニューヨーク市長の対談映像