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再生医療

2019/11/16
リンパ浮腫再生医療について学会発表しました

先日開催されました第28回 日本形成外科学会基礎学術集会(仙台)で、当院でおこなっているリンパ浮腫に対する脂肪由来幹細胞を用いた再生医療の成績について報告しました。

一般演題4「再生医療3」2019年11月14日

演題名:
培養自家脂肪組織由来幹細胞を用いたリンパ浮腫治療


抄録本文 :
【目的】脂肪由来幹細胞はリンパ管内皮細胞への分化能・管腔形成能およびリンパ管内皮細胞に対する増殖刺激能を有するとされている。本研究では、下肢続発性リンパ浮腫に対して培養自家脂肪由来幹細胞の局所投与をおこない、安全性と有効性について前方視的に検討した。

【方法】本治療プロトコールは「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき厚生労働省に第2種治療として届出をおこない、MINDS治験審査委員会にて前向き試験として承認を得た。下肢続発性リンパ浮腫患者(女性4人、平均年齢54.7±6.6歳、リンパ浮腫病期ISL2および3)の自家脂肪組織を腹部より少量採取し、クリニック併設の培養加工施設において4週間培養して自家脂肪由来幹細胞を得た。症状を強く訴える部位をリンパ管造影や超音波検査等により客観的に同定し、得られた脂肪由来幹細胞(1x108個)を同部位の皮下に注射した。周径(メジャー計測)、硬さ(6段階評価)、自覚症状(痛み・重だるさのVASスケール)を治療後6カ月間評価した。また、単純CT検査により皮下組織の質的評価をおこなった。

【結果】治療2週間前後から自覚症状の改善を認め、6カ月後まで持続した(痛み:治療前2.7±2.2、1か月後0.75±1.0、6か月後0.6±1.1、重だるさ:治療前5. 5±1.5、1か月後1.5±1.5、6か月後0.8±0.9)。周径および硬さの変化は有意ではなかったが、治療後CT検査により描出される脂肪織内硬化の減少を認めた。重篤な合併症は認めなかった。

【考察】脂肪由来幹細胞は鎮痛作用および抗炎症作用を有することが知られており、リンパ浮腫の痛みや重だるさの早期改善に有効であったと推測される。一方で、浮腫減量のためには十分なリンパ管新生を誘導する必要があると考えられるため、最適な投与細胞数や投与回数、観察期間等について検討が必要である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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