12月13日―15日ラスベガスで行われたIFATS annual meetingに参加してきました。”IFATS”とは"International Federation for Adipose Therapeutics and Science"の略。「脂肪を用いた治療と科学」の国際学会です。
初日のパネルディスカッション”Private Cell Therapy Clinics"のパネリストとして日本における再生医療クリニックの現状について発表してきました。
パネリストのメンバー 座長はUniv.FloridaのDr. Keith MarchとPittsburgh UniversityのDr. Peter Rubin。
アメリカでは細胞医薬品の開発は着々と進んでいるようですが、FDA(食品医薬品局)が臨床家レベルでの脂肪組織使用の規制を強めているため、医薬品開発の枠組み(治験など)以外での細胞培養が難しく、州によっては脂肪の酵素処理と使用(つまりSVFの使用)が制限されているようです。遠心処理も規制されるのではないかという観測もあります。日本の「再生医療安全確保法」の趣旨(安全性と迅速性)とは対照的ですね。今回のパネリストは開業医ですから、アメリカの状況に関するボヤキが目立ちました。
一方、やりにくい中でも熱意をもって様々な難治性疾患に対する治療の開発をすすめているのが印象的で、例えば、autism(自閉症)の子供に対する脂肪幹細胞点滴の効果を動画で見ることができたのは、感動的でさえありました(Dr. Hazem Barmada@Gulf Coast Stem Cell and Regenerative Medicine Centerの発表)。また、変形性関節症に関してはかなりの症例数が実施されているようです。
わたし自身は、日本での「再生医療安全確保法」施行後の状況と、いくつかの疾患に対する培養脂肪由来幹細胞の効果について発表しました。アヴェニューセルクリニックではリンパ浮腫に対する前向き試験(prospective study)も実施中ですので、その取り組みの一部を紹介してきました。