木曜日のリンパ浮腫外来を担当している吉松英彦医師執筆の教科書が刊行されます。リンパ浮腫に対するリンパ管静脈吻合術(LVA)の体位に関する内容です。
Technical Aspect of LVA / Chapter 3.1 Anastomosis Techniques / Section 3.1.2 Patient Positioning in LVA - Alternatives
Dr. Hidehiko YOSHIMATSU / Cancer Institute Hospital, and Keita Inoue, Avenue Cell Clinic / Tokyo, Japan
リンパ管静脈吻合術(LVA)は、リンパ管と静脈の交差する場所を手術顕微鏡の真下において行います。手術の対象となるリンパ管は数本あり、上肢の場合、前腕から肘、上腕の内側に多く、下肢の場合は大腿・下腿とも内側に多く存在します。リンパ浮腫の患者さんは仰向けで寝た状態で手術を行う事が一般的ですが、一部の重要なリンパ管は仰向けでは手術しにくい場所にあります。
とくに、肘の外側や膝の内側のリンパ管に対して仰向けのまま無理に手術を行おうとすると、視野が悪いために時間がかかるばかりか、場合によってはリンパ管と静脈の吻合のクオリティー自体が下がり、リンパ浮腫の治療効果に影響してしまうこともあり得ます。
アヴェニューセルクリニックでは、ベストの結果を得るため、下記の部位のリンパ管静脈吻合術については患者さんに特別な体位をとって頂くようご協力を頂いています。
1. 膝の内側
リンパ浮腫のある下肢を下にして、横向きに寝て頂きます。反対側の膝を軽く曲げ、前方に出します。手術部位となる膝の内側から裏側がよく見えるようになります。いわゆる「シムス位」に近いですね。
2. 肘の外側
肘を完全に曲げてしまい、肘の下にクッションを置きます。上半身は仰向けよりも、少しだけ肩を浮かせて寝ると楽かもしてません(肩の下にもクッションを入れる場合もあります)。肘の外側が真上に見えるようになります。
3. 上腕の外側
完全に横向きで寝て頂きます。リンパ浮腫のある腕をクッションに載せると上腕の外側が真上になります。
リンパ管静脈吻合術は創が小さいので、身体の負担はほとんどありませんが、手術顕微鏡を使った細かい操作が必要ですので、少し時間が係る手術です。できるだけ楽な姿勢で手術を受けていただけるよう、手術中の姿勢や手術台のクッションなどを工夫しています。
リンパ浮腫の手術(リンパ管静脈吻合術:LVA)についての詳しい情報は、手術のページをご覧下さい。