2020年4月11日のブログに、リンパ浮腫の蜂窩織炎(ほうかしきえん)に伴う発熱とインフルエンザ症状が似ていることを投稿しました。今回はリンパ浮腫で蜂窩織炎をおこしたときの皮膚症状と、新型コロナウィルス感染症の皮膚症状についての情報です。
まず、リンパ浮腫の蜂窩織炎の皮膚症状は、症状が出ている手足「患肢(かんし)」に限局していて、初期にはぴりぴりした感覚があり、ぽつぽつと毛穴のように小さい赤い斑点が生じたり、もう少し大きめの赤い斑点が多発したり、面として全体的に赤く腫れてきたりもします。また、赤いぽつぽつが、白ニキビの様に膿を持つこともあります。指で押すと硬く、痛みがあり、反対側の四肢と比べて温度が高いので熱を持っていることがわかります。抗生物質で治療することにより、数日で改善してきます。
リンパ浮腫の蜂窩織炎(ぷつぷつ)
リンパ浮腫の蜂窩織炎(まだら状)
リンパ浮腫の蜂窩織炎(面状)
リンパ浮腫の蜂窩織炎(毛嚢炎)
一方で、新型コロナウィルス感染症の初期症状として皮膚症状が認められるかもしれない、ということが、ここ最近になってアメリカやフランスで報道され、イタリアからは論文も投稿されています。専門家(皮膚科医)の証言として集まってきているようです。
<参考文献>
https://nypost.com/2020/04/10/coronavirus-patients-report-strange-new-symptom-fizzing/
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jdv.16387
電気が走るような、凍傷のような、ときに痛みを伴う発赤、蕁麻疹のような、、という風に表現されています。実際の写真がありませんでしたので何とも言えませんが、文字だけで判断すると何だかリンパ浮腫の蜂窩織炎の異常知覚や皮疹に似ていなくともないです。
写真が掲載されているサイトを見つけましたので、転載しておきます。(2020.4.20追記)
参照サイト:DermNet NZ, Covid-19 and Dermatology Patients.
(ニュージーランドの皮膚科医が提供する患者向け皮膚科情報サイト)
また、リンパ浮腫の患者さんに多いとは限りませんが、足のゆびや足底に水疱瘡あるいは麻疹のような皮疹が出現するという情報もありましたので、これも転載しておきます。ただし、スペインはコロナウィルス感染患者数が多いので、偶然、皮疹を伴う他の疾患と合併した可能性もあります。したがって、現時点ではウィルスと皮疹の因果関係が明らかではありません。
参照サイト:Consejo General de Colegios Oficiales de Podólogos de España (スペインの足病医協会サイト)
リンパ浮腫の患者さんで皮膚症状が出現したとき、まずは蜂窩織炎の可能性を考えて患肢の冷却と安静をはかったうえで、医療機関に相談して治療をしなくてはなりません。しかし、それ以外に咳や息苦しさ、発熱、味覚・嗅覚異常、3密だった、流行地へ往来したなどで、新型コロナウィルスに感染したかもしれないと思った場合は、医療機関を受診する前に電話などで相談した方が良いでしょう。
リンパ浮腫に伴う蜂窩織炎には、リンパ管静脈吻合術(LVA)が有効です。当院では日帰りで行うリンパ管静脈吻合術に特に力をいれています。詳細については手術のページをご覧ください。
<記事更新:2023年11月20日>