医療用ゴム手袋の話から映画「パッチアダムス」の話題が前回出てきました。その後、久しぶりに再び映画を見てみました。時が経つと同じ映画も見える部分が違うもので、今回はあるフレーズが気になったので、ご紹介いたします。
それは、
「医者は患者と格が違うから、距離をとるべきであって、肩を並べるべきではない」という旧体制の医学教育に疑問を持ち、ユーモアで患者さんとの心通わす医療を目指す主人公の医学生(パッチアダムス)が、無料で診療するクリニックを建て、相互扶助的な会場で活動していました。この行為が退学に値する違法行為ではないか、「無免許で医療行為を行ったのか?」と問い詰められるシーンです。
主人公は「医療行為ではなく、手助けをした。患者さん同士でも、必要なことを手助けし合う。そういう意味で患者さんは同時に医者です。」と反論します。
診療を行っていると、患者さんから教えてもらうこと、というのは実は非常に多いのです。もちろん、心臓はこんな働きをしていて、血液量はこれくらいで、、などという教科書的な知識ではありません。患者さん自身が、実際に困っていることはこんなこと、解決法としてこれが良い、などといった、とても実践的な内容が診療(というより少し脱線も含めた会話)中に聞かれます。私自身、多くのことを患者さんから教えていただいて今があるし、これからも学びたいと思っています。
さてリンパ浮腫の診療をしていると、食事で気をつけることはありますか?と質問されることが時々あります。逆に気になさっている原因として、何か思い当たる食事はありますか?と伺うと思いのほか健康食品を取られている方が多いことに驚きます。
健康食品の中でも古くからあるものの一つに、「養命酒」があります。今回組成について調べているうちに面白いことを知りました。生薬(いわゆる漢方薬のもとになる様々な自然の物質)を「みりん」に浸したもの、だというのです。私にとって「みりん」が主成分というのは初耳で、和食好きな者として、少し調べてみることにしました。
みりんの原料は、もち米と米麹、アルコールです。熟成したのちに圧搾、濾過して造りますが、なんと14%ものアルコールを含んでいて、酒税法に則って課税されるとのことです。しかも歴史的には高級なお酒として元来は飲用であったとのこと。似たものでアルコール分が1%未満の「みりん風調味料」もありますが、あえて差をつけるためにアルコールが含まれるものを「本みりん」と呼ぶこともあるようです(下記、wikipediaより引用)。
一般の食卓に並ぶようになったのは戦後、昭和30年代だそうです。昭和といえば、そろそろ最終話のNHK連続ドラマ「スカーレット」もこの時代ですね。食も経済も豊かになって、いろんな新しいものが融合されていった時代。その後に生まれて、みりんの味を毎日のように楽しめて、良かったと思います。
ではまた!
(加藤基)
引用文献
Wikipedia みりん
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BF%E3%82%8A%E3%82%93
全国味淋協会