リンパ浮腫は進行するんでしょうか。クリニックにいらっしゃる患者さんからたびたびそのような質問を受けます。半分は当たってますが、最近の事情は少し違うようです。
近頃リンパ浮腫を治療されている医療関係者の方々と話をしていると、以前ほどは重症の患者を見かけなくなったということで意見が一致します。おそらくリンパ浮腫の治療技術が進歩したためと、患者さんがリンパ浮腫の情報に触れる機会が増えたためだと思われます。リンパ浮腫は早く治療を始めると、悪化を防ぐことができるといわれますが、それはなぜでしょう。
数年前になりますが、リンパ浮腫の進行に関してとても興味深い医学論文が発表されました。済生会病院の三原誠先生の論文です。
“Pathological Steps of Cancer-Related Lymphedema: Histological Changes in the Collecting Lymphatic Vessels after Lymphadenectomy”
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3404077/
リンパ浮腫の患者さんのリンパ管を顕微鏡で調べたところ、4段階の進行度に分類できることが分かりました(下図)。
1. 正常
2. 拡張 (平滑筋がのびて太くなる)
3. 収縮 (平滑筋が厚くなって、内腔が細くなる)
4. 硬化 (壁が固くなって、リンパ液が漏れる)