最近何かと話題になっている、新型コロナウイルス(2019-nCoV)ですが、PCR検査という方法が保険適応になりました。(2020年3月6日付)ワイドショーなどで説明されることの多いPCR検査ですが、少し興味を持てそうな話題にギュッとまとめてお伝えできればと思います。
PCR検査ってなに?
簡単にいうと、PCRは、DNAのコピー器です。
特殊な酵素と短いDNA配列を混ぜた状態で、温度を高くして低くして、を繰り返すことで必要な部分のDNAが合成され、複製されるのです。
ご存知の方も多いと思いますが、DNAは、ながーい棒が2本くっついた状態で安定しています。この棒、4つの要素から成り立っていて(GCAT 「塩基」と言います)、横一列に並んでおり、塩基配列と呼ばれます。それぞれGはCとAはTと向かい合ってカップルになる、という性質を持っていますので、コピーしたい部分の前後できっちり塩基の対になるもの(「プライマー」と言います)、が用意できれば、必要な部分のコピーを作っていくことができるわけです。
実際には3つのステップがあって、温度を高くしたり、低くしたりを繰り返します。
基本的には単純作業で、機械がやってくれます。必要なDNAの長さなどによって違いはありますが、様々な苦悩をへて、現在では1−3時間程度で完了できる、シンプルなものになりました。(ただし、コロナウィルスはRNAウィルスですので、PCRの前に逆転写(RNA→DNA)という過程が必要になります。)
さて、コロナウイルスのPCR検査ですが、このプライマー配列は既に公表されています。
保険適応になったとはいえ、検査できる施設はまだ限られているのでしょうか。政府発表の内容だけ見ると、小さな実験室でも機械と酵素さえあればできてしまう、気もします。
このPCRの原理を最初に発明・発表されたのは1983年。日本にディズニーランドやファミコンが登場した時代です。この成果によりノーベル化学賞を受賞したアメリカ人、キャリー・マリス氏は、思いついたときに彼女のジェニファーとドライブ中だったと言います。カリフォルニアでサーファーで、、功績もすごいですが、まつわる話がアメリカンドリームでいいですね。
では、また!
(加藤基)