下肢リンパ浮腫の患者さんで、同時に下肢静脈瘤を持っている方がいらっしゃいます。
静脈瘤は静脈が上から下に向かって逆流する病気ですので、それだけでもムクミの原因になります。
この患者さんは、数十年もリンパ浮腫を患っており、リンパ浮腫治療で有名なA大学病院に入院して、リンパ管静脈吻合術(LVA)を受けられた患者さんです。術後1年近く経過しましたが、改善がなかったため当院を受診されました。
改めて調べてみると、下肢静脈の弁不全(逆流)がありました。皮膚表面には静脈瘤は浮き出ていませんが、逆流は重度のものでした。「隠れ静脈瘤」と呼ばれる状態です。前医では「隠れ静脈瘤」については特に指摘も治療もされず、LVAだけおこなったようです。
当院では、まず、静脈不全に対して血管内レーザー焼灼術という治療をおこない、静脈の逆流を止めました。これだけでムクミは改善しましたが、さらにLVAを3回追加しました。すべて日帰りで2〜3時間の手術です。この方はかなりのご高齢ですが、遠方であるにもかかわらず無理なく通院手術を終えています。また、夜間の圧迫療法も見直して、ご高齢でも無理なくはける夜用ストッキングを処方しました。一連の治療を開始して8カ月経過しましたが、初診時よりかなり細くなり、ご本人も喜ばれています。
(左写真)治療前 (右写真)治療後
LVAはリンパ管を静脈につなぐ手術ですが、静脈の逆流が強いとうまくいきません。LVAの効果が出なかった方、ご自分の静脈の状態がどうなのか、もう一度くわしく調べなおしたほうがよいかもしれません。アヴェニューセルクリニックでは初診時に静脈瘤のスクリーニングも行っていますので、思い当たる方はご相談ください。
<記事更新:2024年3月30日>